海外で活躍する卒業生

[日本の文化を伝える親善大使(アメリカ)]

アメリカで日本の良さを伝えようと思ったきっかけ

 地球市民学科の授業で、ある先生が仰った「自分の存在を置ける場所が日本にしかないのはもったいない。他の国に行っても自分というものを置ける場所があった方が良い。」という言葉を聞いて、いつか他国に行っても通用するような人間になりたいと考えていました。

昔からの夢を叶え、航空業界へ

航空会社時代の同期の2人と【航空会社時代の同期の2人と(写真中央がS.T.さん)】
 大学を卒業後、航空業界で働くという昔からの夢を叶え、4年間羽田空港でグランドスタッフとして働いていました。カウンターでのチェックイン業務など搭乗の際の手続き、出発便搭乗口でのお客様へのご案内、アナウンス、空席待ち手続きなどを行い、到着便業務では到着導線の確保、バスへのご案内、お手伝いの必要なお客様やお子様のケアを行っていました。出発便の責任者を任されたときは担当している便をいかに時間通りに出発させるかを考えて、指示を出すという仕事にとてもやりがいを感じていました。グランドスタッフの業務は秒単位の時間との闘いであり、航空法の下、責任も大きな仕事でしたが、充実した毎日を過ごしていました。

 グランドスタッフとして働く一方で、大学院の科目等履修生として地球市民学認定プログラムに参加し、大学院生の方々とともに、地球市民としての在り方や、地球市民とは何かについて追究しました。その間、今の自分にとって海外で活かせることは何だろうと考えた末、航空会社で培った接客スキルを活かせるのではないかと考えるようになりました。学生時代の4年間、東京ディズニーランドで働いていたことがきっかけで、ウォルトディズニーワールドで日本の文化を伝える親善大使として、1年2カ月間、フロリダで過ごしました。

ディズニーワールドで親善大使を務め、多文化の中で日本の文化を再認識

レストランでゲストの誕生日を祝って
 ウォルトディズニーワールドには、世界中から訪れるゲストとキャストがいます。ディズニーの寮で暮らしましたが、寮には英語圏や、アジア、南米、アフリカ、ヨーロッパなど、世界中のキャストが暮らしているため、様々な文化に触れる機会が豊富にありました。第3言語として専攻していたフランス語を使ったことや、モロッコ人のキャストとイスラム教に触れたこと、また何より一番嬉しかったのは、ザンビアから来ていた友人と、私のマラウイでのフィールドワーク経験について語り、仲を深められたことでした。文化が異なる者同士が、ディズニーのキャストという同じルールの下で働くことは、とても刺激的でした。

 ウォルトディズニーワールドでは、エプコットというパーク内にある日本館で働いていました。米国三越が運営しているため、アメリカであっても接客マナーは日本式そのままで、お辞儀の角度や差し示す際の手の角度、そして丁寧な英語を使うことなどが徹底されていました。私は利き酒のお店とレストランを担当していましたが、日本の文化を伝えるだけでなく、お客様とのコミュニケーションを通じて、海外における日本のイメージを知ることができました。日本について、自分が当たり前のように感じ、深く考えたことのなかったことを何度も質問されたことで、改めて日本の文化について考えさせられる日々を過ごしました。

 フロリダでの生活は、自分自身をひとまわり大きくしてくれ、日本人として、また地球市民として、自分のアイデンティティやバックグラウンドを世界に発信するための一歩となったと確信しています。
S.T.さん

[日本の文化を伝える親善大使(アメリカ)]

ウォルトディズニーワールド
S.T.さん
2010年 地球市民学科 卒業
埼玉県立 大宮光陵高等学校 出身

*掲載内容は取材当時のものです。